生命保険や損害保険の保険金は、いざという時のためですが、保険料の負担者や支払原因によって、受取時の税金負担に違いがあります。
生命保険
生命保険金を受け取る場合、その保険金が死亡に基づくものか、満期によるものか、また、保険料の負担者は誰なのかなどによって課税関係が所得税、贈与税、相続税と異なります。
例:夫婦の場合
負担者 | 被保険者 | 受取人 | 保険事故等 | 課税関係 |
夫 | 夫 | 夫 | 満期 | 夫の一時所得※ |
夫 | 夫 | 妻 | 満期 | 妻に贈与税 |
夫の死亡 | 妻に相続税 | |||
夫 | 妻 (契約者) |
妻 | 夫の死亡 | 妻に相続税 (生命保険契約に関する権利)※ |
夫 | 妻 | 夫 | 満期 | 妻の一時所得※ |
夫の死亡 | ||||
妻 | 妻 | 妻 | 満期 | 妻の一時所得※ |
妻 | 妻 | 夫 | 満期 | 夫に贈与税 |
妻の死亡 | 夫に相続税 | |||
妻 | 夫 (契約者) |
夫 | 妻の死亡 | 夫に相続税 (生命保険契約に関する権利) |
妻 | 夫 | 妻 | 満期 | 夫の一時所得※ |
妻の死亡 |
※一時所得の場合の課税所得金額の計算式
{(保険金-支払保険料)-50万円}× 1/2
※生命保険契約に関する権利とは、亡くなったひとが他の人に掛けていた生命保険について、解約返戻金や満期保険金を受け取る権利など、保険契約そのものを「生命保険契約に関する権利」として相続税がかかります。
その他、一定の一時払養老保険等(金融類似商品等)の差益は、源泉分離課税といって源泉徴収だけで完了します。
保険金を一括ではなく、年金方式で受け取った場合は、その年ごとの雑所得として所得税及び復興特別所得税がかかります。
相続等に係る生命保険契約等に基づく年金のうち、相続税等の課税対象となった部分については、所得税及び復興特別所得税は課税されません。
損害保険
損害保険金を受け取る場合も、保険料の負担者や支払原因によって課税関係が異なってきますが、保険を掛けていたひとが建物の焼失や身体の傷害・疾病を原因として受け取る保険金には、原則として課税されません。
しかし、例えば、事業者の店舗や商品が火災で焼失した場合、焼失した商品の損害保険金は事業収入になります。
また、焼失した店舗の損害保険金は店舗の損失額を計算する際に、差し引くことが可能です。
配当金等を受け取ったとき
契約期間中に受け取る配当金は、支払保険料から控除し課税されませんが、保険金と一緒に受け取る配当金は保険金の額に含めて一時所得として課税対象になります。
また、相続税、贈与税が課税されるような場合には、配当金は保険金の額に含めて課税対象になります。
保険の受取については、特に生命保険契約は、保険契約者、被保険者、負担者、保険金受取人など契約にかかわる人が多いため、権利関係を簡単に理解できない場合があります。
亡くなったひとが他の人に掛けていた生命保険がある場合は、予想外の税負担がかかる場合があるので注意が必要です。
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