国内に本店等を置く会社からの受取配当金は、法人税等を計算するうえで次の4点についての額は課税されません。
①完全子法人株式等(株式保有割合が100%)の受取配当金等 ×100%
②関連法人株式等(株式保有割合が1/3超100%未満)の受取配当金等 ×100%(負債利子控除あり)
③その他の株式等(株式保有割合が5%超1/3以下)の受取配当金等 ×50%
④非支配目的株式等(株式保有割合が5%以下)の受取配当金等 ×20%
完全子法人株式等から受け取った配当金は、100%課税されませんが、持株割合が5%以下の会社から受け取った配当金は、課税されない部分が20%しかありません。
法人税法上の受取配当金の範囲は、国内に本店等を置く会社から受け取る剰余金の配当と、特定株式投資信託の収益分配金に限られています。
今回は、国内に本店等を置く会社から受け取る剰余金をの配当を中心にまとめています。
法人税の趣旨
法人税法では上記にとおり、受取配当金等は課税されない額が定められていますすが、制度の趣旨は、事業の運営の仕方で、税金の有利不利がないようにしている狙いがあります。
例えば、ある事業をどこかの支店に任せる場合と、100%出資した子会社を設立して任せる場合があるとします。
支店に任せる場合は、得られた支店の利益は最終的に本社に合算され、一緒に税金が計算されます。
対して、子会社を設立して、そこから得られた利益は子会社で税金を一旦計算し、残りの利益は親会社に配当として吸い上げられる場合に、ここで源泉所得税が20%課税されることになります。
ここで、支店に任せる場合と比べて、子会社に任せる方が、源泉所得税20%が余分に課税されることになります。
実際に行っている事業が、規模や場所など同じでも、事業に運営の仕方でグループ全体の税金の額が変わってしまうことに有利不利がでてきます。
こうして課税の公平性の点から、上記のような定めが設けられるようになりました。
株を支配目的で持つか、運用目的として持つか
次に、株を持つ目的別に考えてみます。
支配目的で持つ株の受取配当金等については、課税の公正性の点から、課税されない額などが定められています。
対して、運用目的で持つ株の受取配当金等については、特別な保護は必要ないとされています。
例えば、配当の権利確定日の直前に株を取得して、配当を得てすぐに売ってしまう場合などです。
法人税では、持株比率によって、支配目的か運用目的化に区分しています。
区分 | 持株比率 | 課税とならない割合 | 負債の利子控除 | |
株式 出資 |
完全子法人株式等 | 100% | 100% | なし |
関連法人株式等 | 3分の1超 | あり | ||
その他の株式等 | 5%超から3分の1 | 50% | なし | |
非支配目的株式等 | 5%以下 | 20% |
株主の地位に基づいて受取る配当金
課税されない受取配当金等の基本的な考え方は、株主の地位に基づいて受取ることにあります。
■課税されない剰余金の配当等
・剰余金の配当(出資に係るもの)
・利益の配当
・剰余金の分配(出資に係るもの)
・みなし配当
・名義株の配当(他人名義の株であっても実態を見て)
・外国子会社からの配当(持株比率25%以上で、別に計算)
■課税される剰余金の配当等
・公益法人等から受ける配当または剰余金の分配(収益事業か否か不明により)
・協同組合等の事業分量配分金(取引量に左右されることから)
・保険の配当金(保険会社の差益精算)
・短期所有株式の配当金(課税所得が減少するのを回避)
・名義書換失念株の配当金(株主の地位に基づいていない)
以上のように、制度の趣旨から、持株比率が5%以下の運用目的の場合には、課税されない割合が20%と少なくなっています。
また、持株比率が3分の1を境目に、課税されない割合が50%か100%と大きな分かれ目になっているのも注意が必要です。
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【編集後記】
今日は新規出店の計画をしているお客様の数値検証、
既存店の売上に相関関係があるデータの洗い出しと分析。
同じ数値でも、会計から距離ある数値を(乗客数や降水量など)使ったので、少し新鮮な気持ちで取り組めました。
【昨日の1日1新】
エスカレータから転がり落ちてきた酔っ払いの救護
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