社長など役員に支給するものとして、税法では毎月同額を支払う「定期同額給与」や「業績連動給与」がありますが、その他事前のボーナスの額を決めて支給するおくものとして「事前確定届出給与」があります。
いずれも、利益調整にならないように、毎月同じ額をあらかじ決めておくことなど税法上ルールが定められています。
「事前確定届出給与」については事前にいくら支給するか、いつ支給するか決めて、税務署に事前に届出することで、社長など役員のボーナスが経費として認められます。
事前届出どおりに支給しなかった場合
・事前にいくら支給するか決めた金額について、1円でも違っているとその支給した全額が経費になりません。
・いつ支給するか決めた「届出月」と別の月に支給すると、支給した全額が経費になりません。
また、未払金で計上して実際の支給がされていない場合は、経費になりません。
実際に支給しておくことが必要です。
事前確定届出給与を1円も払わなかった場合(法人側の対応)
例えば、事前に決めていた事前確定届出給与を1円も支払わなかった場合に、法人としては経費とする金額が1円もないので、法人税上の利益を算出するため差し引く経費もありません。
ただし、当初支給すると決めていた社長へのボーナスについては、報酬請求権が確定しているため法人には、未払賞与が発生していることになり、関連して源泉徴収義務を負うことになります。
つまり、法人税法上の影響はありませんが、源泉徴収義務は発生するので注意が必要です。
◇所得税法第183条
2 法人の法人税法第二条第十五号 (定義)に規定する役員に対する賞与については、支払の確定した日から一年を経過した日までにその支払がされない場合には、その一年を経過した日においてその支払があつたものとみなして、前項の規定を適用する。
事前確定届出給与を1円も払わなかった場合(社長個人の対応)
事前確定届出給与を1円も支払わなかった場合であっても、社長は辞退しない限り給与所得として課税の対象になります。
事前確定届出給与としては、その支給日が来る前に辞退しておかないと社長の給与所得になってしますので注意が必要です。
臨時の株主総会などで受領辞退に関する不支給決議をして、紙で残しておくことが重要です。
◇所得税基本通達36-9(給与所得の収入金額の収入すべき時期)
給与所得の収入金額の収入すべき時期は、それぞれ次に掲げる日によるものとする。
(1) 契約又は慣習その他株主総会の決議等により支給日が定められている給与等についてはその支給日、その日が定められていないものについてはその支給を受けた日
◇所得税基本通達28-10(給与等の受領を辞退した場合)
給与等の支払を受けるべき者がその給与等の全部又は一部の受領を辞退した場合には、その支給期の到来前に辞退の意思を明示して辞退したものに限り、課税しないものとする。
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【編集後記】
今日は、年に二回お会いする法人のお客様と打ち合わせ、
上期決算の内容確認や、消費税増税の対応など対応検討。
【昨日の1日1新】
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