会社で取り扱っている商品を役員へタダで渡すことになった場合について、税法上の取り扱いがあるので気をつけておきましょう。
タダでということで、所得税では給与課税や源泉、法人税では役員賞与にならないか、消費税の課税標準(税金を計算するための課税対象)などの注意すべき点がいくつかあります。
今回は消費税の取り扱いです。
原則的な取り扱い
消費税の原則では、実際の取引が通常より著しく低い場合やタダの場合でも、実際に受け取る金額を元に課税標準を計算します。
資産のみなし譲渡
以下2つの場合は、時価により譲渡したものとみなして課税標準を計算します。
(資産のみなし譲渡といいます 役務は該当しません)
①法人が資産を役員にタダで贈与、または低額(著しく低い価額)で譲渡した場合。
②個人事業主が棚卸資産やその他の事業用資産を自家使用した場合。
原則に沿って考えると、無償や通常より低い金額であっても、当事者間でやり取りして実際に受け取る金額が消費税の課税標準になりますが、上記の2つに該当する資産のみなし譲渡については、その時の時価によって譲渡があったとされます。
ここで、低額(著しく低い価額)譲渡の判定は、おおむね半値に満たない額とされております。
時価については、売却を前提にした実現可能価額(市場で売ったらいくら)とされています。
※税抜価額で判定
例外規定
資産のみなし譲渡についての、低額(著しく低い価額)で譲渡の判定に以下の2点どちらも該当する場合には、低額(著しく低い価額)で譲渡したとは当てはまらないとして、例外規定が設けられています。
※法人が棚卸資産を譲渡する場合
①当該資産の課税仕入れの金額以上
②通常他の販売する価額のおおむね50%に相当する金額以上であること
さらに、低額(著しく低い価額)で譲渡したとは当てはまる場合でも、役員や従業員の全部に一律に譲渡する場合や、勤続年数などの合理的な基準で、会社規則などに普遍的に値引率が定められていれば、低額(著しく低い価額)譲渡にならないで、時価ではなく実際にやり取りして受け取る金額を元に課税標準を計算します。
以上のように、原則は当事者でやり取りする価額を基礎として、課税標準を計算しますが、「資産のみなし譲渡」の場合は時価で課税標準を計算します。
さらに、法人が棚卸資産を譲渡する場合の例外規定がありますので、所得税、法人税とあわせて複雑になっているので注意が必要です。
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【編集後記】
今日の午前中は税務署へ、午後からは新規法人設立業務など
【昨日の1日1新】
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