青色申告は、必要な手続きと要件を満たすと税制上の特典や優遇措置などの特例を受けることができます。
フリーランスが新規か新規開業した場合、業務を開始した日から2カ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出ておく必要があります。(承認された場合、問題が無ければ連絡はありません)
青色申告の他には白色申告もありますが、それぞれ所得に対する税金(所得税)の額を計算し、税金を納めるために必要書類を税務署に提出する手続きになります。
白色申告は税制上の特典などは特にありませんが、青色申告も白色申告も帳簿の作成義務はあります。
2014年以後、白色申告でも帳簿の作成や保存が義務化されたので、以前のように帳簿を作らなくても良いといった白色申告のメリットはなくなっています。
簿記の知識が無ければ帳簿を作成するのは難しいのではないかと思われがちですが、会計ソフトを使用することで比較的簡単に作れるようになっています。
青色申告制制度
青色申告ができる人は、「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出して承認されている人になります。(承認された場合、問題が無ければ連絡はありません)
所得税法上、所得税の計算は所得を10種類の区分に分類して税額の計算をします。
青色申告できる所得の種類は「事業所得」「不動産所得」「山林所得」になります。
主な青色申告の特典
- 所得税の青色申告特別控除
所得税の計算は、収入から必要経費を差し引いた所得に税率をかけて計算されますが、青色申告の特典として、所得の金額から65万円又は10万円が控除してから所得税の計算がされます。
65万円控除の場合は「複式簿記」を、10万円控除の場合は「簡易簿記」で帳簿を作成します。
簡易簿記は家計簿やお小遣い帳のように、いつ・何に・いくら使ったか記録しておけばいいので作成が簡単です。
一方、複式簿記は取引を仕訳で記録するので簿記の知識が無いと慣れるまで時間がかかります。
手間暇を考えて、控除できるほどの所得が出なさそうなら10万円控除の方を選択するとよいでしょう。
- 青色事業専従者給与
所得税法上では、同居する親族などに給与を支払っても経費として認められませんが、「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出しておくと、届出しておいた給与額を上限に適正額であれば経費として認められます。
注意点としては、親族の年齢が12月31日時点で15歳以上であること、年間通じて6か月を超える期間働いていることなど条件があります。
- 純損失の繰越控除
赤字になった場合に、その赤字額(純損失)は翌年以降3年間に繰越が認められますので、事業開始初年度など赤字になった分は、翌年の黒字と相殺できるので、事業開始時には所得税の青色申告承認申請書」を忘れずに提出しておきましょう。
また、逆に赤字金額の繰り戻しで一部支払った所得税の還付請求ができます。
その他、少額減価償却資産特例や貸倒引当金の繰入などの特典があります。
青色申告が利用できない場合
「所得税の青色申告承認申請書」を提出していなかった場合は、忘れないうちに提出しておきましょう。(次年度からの青色申告になります)
白色申告については、税務調査などで収入や経費の額について、根拠を説明できない場合や資料が不明となった場合は、推計(同業者比較など)で税額を計算されてしまいます。
余分な税金を納める可能性もありますので、青色申告して余分な税金は支払わないようにしておきましょう。
また、青色申告は何もなければ継続的に適用されますが、税務調査などで要求された帳簿書類を提示しない場合や、故意に収入を隠すことや経費を過大計上した場合には取り消されることがありますので注意しましょう。
e-Taxによる申告(電子申告)の準備を
2020年以後は、e-Taxによる申告(電子申告)又は電子帳簿保存を行わない場合は、所得税の青色申告特別控除65万円控除が55万円控除に変わります。
(10万円控除はこれまでと変更なし)
e-Taxによる申告(電子申告)にはマイナンバーカードとICカードリーダーが必要になるので、準備は進めておいた方がよいでしょう。
今後ますます電子申告(義務化)の方向へと進んでいくと思われます。
まとめ
白色申告については帳簿の作成が義務化されてしまったので、白色申告を行うメリットは無くなり、推計課税などデメリットしか残っていません。
青色申告は特典のメリットがいくつもあるので、「所得税の青色申告承認申請書」は忘れないで提出期限内に提出しましょう。
提出期限は業務を開始した日から2か月以内が提出期限となっています。
参考:白色申と青色申告の主な違い
白色申告 | 青色申告(10万円控除) | 青色申告(65万円控除) | |
所得税の青色申告承認 申請書の提出 |
× | ○ | ○ |
特別控除 | × | 10万円控除 | 65万円控除 |
帳簿の作成義務 | ○ | ○ | ○ |
帳簿等の保存義務 | ○ | ○ | ○ |
帳簿の作成方法 | 簡易簿記 | 簡易簿記 | 複式簿記 |