仕事の一部を業者(個人事業主)と業務委託契約を結んで業務委託している場合に、その業者に支払う業務委託費は経費として計上することになりますが、状況によっては支払った業務委託費は給与だと税法上判断され、法人税法上の経費や消費税法上の課税仕入れが認められないことがあるので注意が必要です。
税法上(所得税)の給与等
業務委託費を受け取る側にとっての収入を税務上区分で見ると「給与所得」と「事業所得」のいずれかに区分されることになります。
「給与所得」は、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得、「事業所得」は、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他政令で定めるものから生ずる所得と定義されております。
税法上、所得を区分するのは税負担の公平性を図るためなどの理由があります。
「給与所得」となる一般的な判断基準としては、雇用契約が結ばれていること、業務内容についての指揮命令の有無、使用者からの空間的・時間的拘束、必要な費用額の使用者負担などがあります。
「事業所得」となる一般的な判断基準としては、自己責任で行われていること、営利的であること、反復継続していることなどがあります。
労働法の「労働者」
労働契約法上では、指揮監督下になる労働者に関する判断基準として、仕事の依頼に対する諾否の自由、指揮命令の有無、拘束性や代替性、時給計算や欠勤控除などあります。
また、機材などの負担関係や他社業務の制限、報酬に固定的要素(生活保障)、他の正規従業員と同様に源泉徴収や雇用保険など労務手続きを行っているかなどで判断されます。
まとめ
業者(個人事業主)と業務委託契約を結んで業務委託している場合に、その支払いが「給与等」にあてはまるかは、労働法上の「労働者」にも該当していないか確認してみましょう。
形式的に結んでいる契約では税務調査では実態をみて指摘される可能性もありますので、現状の業務委託契約の内容を再確認し、委託料の計算方法、費用負担の実態など整理が必要です。
個人事業主に支払う業務委託費が給与と指摘されると、源泉徴収が必要になり、消費税の仕入税額控除が使えなくなりますので実態に合っていないと問題になることがあるので注意しておきましょう。
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【編集後記】
今日は融資案件の資料準備など
【昨日の1日1新】
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