税務調査がまったく来ないとか、うちには3年に1回必ず来るとか、税務調査に来る頻度もそれぞれ違っています。
赤字法人より黒字法人に来るとか、売上高が1憶円超えたのでそろそろといった話もありますが、国税庁が公開している資料などを見てみるのも興味深いです。
国税審議会の説明資料(下記、税務行政の現状と課題)に全体的な税務調査についての記載があります。
⇒「税務行政の現状と課題」
税務調査の実施頻度
平成29年の調査対象に実際に調査に入った割合は、個人では1.1%、法人では3.2%となっています。
この数字だけ見ると少ない印象です。
また、簡易調査と言って、電話での問い合わせや、直接税務署での聞き取り、郵便での「お尋ね」書類での調査などが増えていますので、実地調査には至らなかったケースもあります。
税務調査も効率化を図っていますが、国税庁の文書改ざん問題もあり、最近では簡易ではなくできるだけ実地調査を多くする方針にしているそうです。
下記の資料では、個人では100年に1回や法人では30年に1回と記載されているので、確率的な考えではほとんど調査は来ないとも読み取れますが、実際に調査した実調率の母数に税額のある申告を行った納税者とあるので、還付申告などは加味されていないので、還付申告だけの実調率はまた違った数字になっていると思われます。
なぜ「100年に1回」などの説明をしているのかは、国税庁の定員(約5.5万人)が平成元年ごろからほとんど増加していないことと、法人数が平成元年(約235万法人)から平成29年(約311万法人)に増加しており対応しきれていない現状を強調しているものと思われます。
警察官の定員が約30万人位なので、国税庁の定員が多いか少ないか判断しずらいですが、法人数は最低資本金制度の廃止などもあり大幅に増加しています。(休眠会社も増えています)
また、平成25年の税制改正で税務調査手続きも複雑になったのも影響があると思われます。
※国税審議会の第20回 説明資料より
対象になる会社
税務調査の対象になる会社としては、以前に税務調査に入ったところは再度調査が入る確率は高いです。
前回調査時の指摘事項を重点的に調査して引き上げていくケースもありますので、しばらく調査は来ないだろうと指摘事項を放置することは避けた方がよいです。
売上高が急増している会社も税務調査の対象になりやすいです。
税務署側では税務申告の決算資料をシステムに入力してデータを見ていますので、突出した動きがあればなぜ急増したかの確認をしています。
勘定科目や計上区分を変更する場合も注意が必要で、金額が大きいとそれだけ目立ちます。
業種としては、建築業と飲食店は対象になる確率が高いです。
建設業は取扱額が大きいので、売上の期ズレは必ず確認されます。
外注費については消費税の影響もあるのでこちらも論点となることが多く、外注ではなく給与であると指摘されると源泉所得税まで影響します。
飲食店については現金商売であることから売上除外(正しく売上計上しているか)の調査が中心となります。
また、不正発見割合の高い業種も税務調査が入る確率は高いです。
少し古いですが(平成21年資料)国税庁の資料に不正発見割合の資料がありました。
※東京国税局 平成21年 実地調査の状況
まとめ
営んでいる事業の状況も変化していくの、数年前は売上も少なく調査も来ないだろうと思っていて、事業が軌道に乗り、売上も年々増加したところ調査が来て過去3年分調査してみると、誤りが多く追加の税金等が発生して、順調に売上を伸ばしてきた事業に水を差すことになったケースもあります。
過剰に税務調査を意識する必要はありませんが、税務調査が入られたら正しく処理していることを主張できるようにしておくことは必要です。
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【編集後記】
花粉症で中断していたランニングを久しぶりに再開。
【昨日の1日1新】
東京税理士協同組合(千駄ヶ谷)
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