法人でできる節税対策の1つに「借り上げ社宅」があります。
法人名義で自宅を契約して、法人が役員または従業員に社宅として貸すことです。
この制度は、仕事に関係のない自宅家賃を経費にすることができるので、税金上の取扱い基準を確認しながら利用しましょう。
節税するための前提
事業を法人で行っていることが大前提となります。
そして、家主との契約は「法人契約」することになります。
すでに個人で契約してしまっている場合は、個人から法人へ契約変更できないか家主に相談してみましょう。
事務手数料が発生したり、契約更新時のみ変更受付の場合もありますが、交渉してみる価値はあります。
社宅家賃の全額が経費になる?
社宅家賃の50%を経費としている場合が多いです。
この50%を経費にするというのは、法人が家主に支払う家賃と、役員または従業員から受け取った家賃の差額が50%ということです。
50%に満たない家賃を役員または従業員からもらわない場合には、その満たない金額は給与課税になってしまいます。
※50%の根拠につては下記参照。
もうひと手間をかけてみる
個人(役員)から受けとる家賃について、税金上の取扱い基準があります。
(所得税法の基本通達36-41)
木造132㎡、木造以外99㎡以下の住宅を「小規模住宅等」といって、「小規模住宅等」に該当する場合は次の算式で家賃を計算します。
①(その年度の家屋の固定資産税の課税標準額)×0.2%
②12円×(当該家屋の総床面積(㎡)/3.3(㎡))
③(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%
以上の①②③の合計額が家賃です。
(役員の場合で「小規模住宅等」に該当しない借り上げ社宅は別途計算方法があります)
ここで、「固定資産税の課税標準額」入手できれば、会社が負担する社宅家賃の10%程度の家賃を役員または従業員からもうらうだけで済む可能性があります。
(90%を経費にできる可能性がある)
但し、「固定資産税の課税標準額」は家主に固定資産税の通知を見せてもらうか役所で調べるなど、資料を揃えるのが難しいです。
※上記で50%という数字の根拠については、「小規模な住宅」以外の社宅については、最低でも賃料等の50%以上を社宅家賃として徴収すべきと書いてあることからだと思われます。
保守的に50%負担の場合もあれば、資料を揃えて10%程度の負担にするのかは、税理士によっても考え方に違いがあります。
いずれにしても、借り上げ社宅の制度は住居費用を法人の経費にできて節税効果がありますので利用してみましょう。
【昨日の一日一新】
とある研修のとある懇親会